
バスロータリーの中央部に、バス停と広場の機能を設けた。それらを覆うようにシェルの大屋根がかかっている。
2022年のスタジオ後半では[OTTO’s Modeling]で得たform findingの知見を生かし、大学構内のバスロータリーを再設計、提案を行った。
Sututtugart21[1994 ~ by Frei Otto]をモデルケースとし、シェル曲面を用いてバスロータリーの大屋根を設計した。モデルケースの大屋根は厳密には完全なシェル構造ではなく、一部分厚い鉄筋コンクリートをによって形状を担保していた。完全なHP曲面から任意の三角形を抜き出し、八角形に展開することで完全なシェル構造の傘を形成した。このシェル傘を連結させることで、構造合理性を持った大屋根を形成する。薄いシェル屋根のもと、人々が行き交い、思い思いの時を過ごす。
材料:
プラバン(白)厚み1mm、ジェッソ、石膏、瞬間接着剤、木工用ボンド、スノーマット、透明塩ビ版、トレーシングペーパー、スプレーのり、ケント紙、色紙、厚紙、飾り用小枝
Otto’s Modeling
フライ・オットー が行ったフォームファインディングを再現し、彼の作品コンセプトをたどる。
オットーはフニクラ(吊り模型)やシャボン玉模型など様々な手法を用いてフォームファインディングを行った建築家である。自然現象によってできる形を建築に応用した作品は、構造的合理性を持ちながら、その形態の切り取り方から彼自身の美意識を見ることができる。オットーの模型はファインディング(模索)という言葉であるように、自然現象を再現するための装置のようなものである。重力や張力などの自然現象とともに形態を模索するオットーの
建築思想を彼の模型を再現することで体感する。
参考図書:THINKING BY MODELING by Frei Otto (2007)

side

通路(ストリート)を縦横に配置し、視線を通す。
APROARCH
【八角形のシェル傘+ 四角形の寄棟】
四角形のHP 曲面から三角形を取り出す。この三角形は八角形の対角線を引いた際にできる三角形を利用する。取り出した三角形シェルを八枚つなぎ合わせることで、TOP から見たときに八角形のシェルの傘形状が出来上がる。この方法を用いると、任意の多角形のシェル傘を形成することができる。
幾何学的に、八角形と四角形の組み合わせは平面充填することができる特性がある。この性質を建築のグリッドに採用した。
Grid

八角形と四角形の多面体を組み合わせたグリッドに沿ってHP シェルユニットを展開させた。
OCTA 中央部にはこのグリッドを利用し、特有の輪郭線を持つ吹き抜け空間を配置した。

HP曲面から八角形のピザを切り出すイメージ
Path 導線
ロータリーの必要条件として、
①乗り場を三か所、降車場を一か所用意する
②バスの乗り降りは原則としてバスの左側からのみ行う
③バスはツインライナーとシングルライナーが走行する
が提示された。
一般的なバスロータリーは時計回りにバスが走り、ロータリーの外側から人が乗り降りをする。これに対し、今回のロータリーはバス導線を反時計回りにして、ロータリーの内側から人が乗り降りするように設定した。
中央部に人が集まる導線にすることで、単なる移動施設だけではなく、広場のように人々が集い、時間を過ごす空間を目指した。大学構内のバスロータリーということで、学生同士、学生と地域とのコミュニティを形成する機能を持たせた。



GL+180

ツインライナーの乗り場が2つ、シングルライナーの乗り場が一つと降車場を一つ持つバスロータリー。また、大屋根の下にはトイレなどの設備とカフェ、待合室などの人々がたたずむ空間を設けた。
屋根伏せ図

バスロータリーの二面はそれぞれ大型道路と民家に面している。
そのため、大学と地域の結節点としての機能を期待できる。
それぞれの柱は15mのスパンで配置され、そこからHPのシェル屋根がかかる。
断面図

屋根の最高高さは約4600m。雨天時、利用者が雨にぬれずに乗降できるようにバスの半分が屋根下におさまる。
HP曲面の一番低い地点でも2mの高さを確保した。
模型




大屋根はプラバンをバキュームフォームして曲面を作り、切断。粗目のジェッソで塗装した。


右上:バキュームフォーム用に作成した曲面の型。3Dプリントで作成したのち、パテで積層跡を埋めてやすりで表面を滑らかにした。
右下:作成したバキュームフォーム装置。主に100均で材料を用意した。
