
オットーの釣り模型を再現した。オットーはメッシュ生地に細かい錘(ピン?)のようなものを吊り下げ、曲面の造形を模索していた。今回は、メッシュの包帯に、釣り具の錘をできるだけ等間隔に吊るすことで重力荷重によってできる曲面を再現した。
オットーのシュトゥットガルト駅プロジェクトの模型を再現。
伸縮性のある素材を任意の地点でつまみ上げ、造形するスタディ。オットーはネットのような素材におもりをつけ垂直荷重を与えていた。今回は包帯ネットと釣り用のおもりが用いられた。
模型の柱部分に長ネジを用いることで、ネットをつまみ上げる高さを調節可能にした。
材料:
ネット包帯、手芸用糸、釘、木板、長ネジ、ボルト、ワッシャー、釣り糸用おもり、ヒートン、木角棒、根太、ビス
Otto’s Modeling
フライ・オットー が行ったフォームファインディングを再現し、彼の作品コンセプトをたどる。
オットーはフニクラ(吊り模型)やシャボン玉模型など様々な手法を用いてフォームファインディングを行った建築家である。自然現象によってできる形を建築に応用した作品は、構造的合理性を持ちながら、その形態の切り取り方から彼自身の美意識を見ることができる。オットーの模型はファインディング(模索)という言葉であるように、自然現象を再現するための装置のようなものである。重力や張力などの自然現象とともに形態を模索するオットーの
建築思想を彼の模型を再現することで体感する。
参考図書:THINKING BY MODELING by Frei Otto (2007)

side

【断面スケッチ】
ネットのフレームとネットをつまむフックを長ネジで支持しすることで、それぞれの高さを変更することができるようにした。これによって、ネットのつまみ高さを調節する。
長ネジの垂直性を担保するため、ベース板に適当な厚みの木板をかまし、ナットで固定した。

ネット開口部
開口部を再現するために、包帯ネットに切り込みを入れた。その際、切れ端のほつれ防止とアウトラインを滑らかにするために、刺繍糸をネット端部に巻きつけながら通した。

ネット-フレーム
フレームとネットの接合部はフレームに沿って小釘を打ち込んでいる。布キャンバスの要領で釘にネットをひっかけながら、面を張っていった。
あくまでForm Findingは重力によるたわみ等の自然現象に造形のヒントを得るスタディだが、今回のフニクラ模型ではネットにおもりを吊りさげて形状を担保している。なぜなら、包帯ネットに伸縮性があり、フレームに張った際に自重のたわみよりもネット自体の伸縮がつよくなる。その状態でネットをつまみ上げても自然なたわみが再現できないためである。ネットをフレームにセットした際、ネットがたわまないギリギリにおもりを配置していく。これによって均等に荷重をもちながらつまみ上げることができる面を作成した。
つまみ上げた部分には荷重が集中すると考え、よりおおきなおもりを配置した。


ネットに垂直荷重を与えるために、釣り糸用のおもりを使用した。重さのバリエーションがあり、適宜選択しながら配置することができる。
釣り糸用のおもりはフック部分がすべてつながっており、糸をひっかけることができなかったため、今回はニッパーでフックの針金部分を少し切り取り、ネットとおもりの取り外しを簡単に行えるようにした。
